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なぜ妊活に『葉酸』が必要なのかご存知ですか?

川口 優太郎先生

川口 優太郎先生

葉酸 / folic acid

現在妊活をされている方、あるいはすでに不妊治療をうけているという患者さまでは、インターネットなんかを見ていると、よく『妊活サプリメント』なるものを目にするかと思います。

そして、ついついどんなものかとクリックしてみると、その多くがどれも『葉酸』のサプリメントではないかと思います。

ではここで皆さんに質問です。

皆さんは、なぜ妊活に『葉酸』が必要なのかご存知でしょうか?

定期的に私が行っている妊活セミナーなどでこの質問をすると、参加者の中に「葉酸を摂ると妊娠しやすくなるんですよね?」といった間違った認識をされている方が非常に多くいらっしゃいます。

「えっ?違うの?」と思われたそこのあなたへ、今回はなぜ妊活に『葉酸』が必要なのか?について詳しくご説明していきたいと思います。

まず、『葉酸』とはビタミンB群の一つで、血液(赤血球)を作ったり、細胞を作るために必要な核酸を合成したりする作用があります。

一部を除いて、ビタミンは人間の体内では作ることができないため、必要な量をバランス良く食事などから摂取しなければ、身体に様々な支障をきたしてしまいます。

例えば、皆さんがビタミンと言われてすぐに思い付くものに『ビタミンC』がある思います。

野菜や果物に多く含まれるビタミンCは、体内で不足してしまうと壊血病という出血性の障害を引き起こします。

17世紀、大航海時代のヨーロッパで、船乗り達が長距離を航海していた際に野菜や果物を摂取することが出来なかったことから壊血病にかかってしまったと言われています。

ではなぜ、生殖医療の分野において『葉酸』が必要であると言われているのでしょうか?

実は近年、諸外国の研究において『葉酸』を摂取することで、赤ちゃんの神経管閉塞障害のリスクが減らせるということがわかってきました。

(※International Clearinghouse for Birth Surveillance and Research, Annual Report, 2013)

神経管閉塞障害とは、人間の脳や脊髄を作る神経管が、妊娠初期に正常な形成が行われないことによって起こる障害で、脊髄に異常が起こることに起因する運動機能障害や、脳が形成されない無脳症といった病気を指します。

中でも、日本で問題となっているのが神経管閉塞障害の一つである二分脊椎症で、アメリカやヨーロッパ諸国、オーストラリアなどでは発生率が減少傾向にあるものの、日本では増加の一途をたどっています。
(※平成26年 日本産科婦人科学会, 産婦人科診療ガイドラインより)

『葉酸』の摂取は、これらの神経管閉塞障害に加えて、その他の先天性形態異常のリスクを減少させることにも効果があるのではないかと考えられています。

このような、『葉酸』の効果を普及させるため、厚生労働省は平成12年から妊娠を考えている女性に対して、葉酸摂取の重要性を周知するとともにその他ビタミンを多く含む栄養バランスのとれた食事が必要であることなどの情報提供を積極的に行っています。
(※平成12年12月 厚生労働省, 先天異常の発症リスクの低減に関する検討会, 神経管閉塞障害の発症リスクの低減に関する報告書より)

またこの中で、少なくとも妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間は、『葉酸』をはじめその他ビタミンの摂取を推奨しています。

ですので、なぜ妊活に『葉酸』が必要なのか?の答えは、「赤ちゃんがお腹の中で健康に育つための栄養素であるから」ということを覚えておいてください。

しかしながら、インターネットを見ていると、さも不妊の対策や妊娠率を上げる、あるいは赤ちゃんを授かりやすくするための栄養素かのように広告・宣伝されているサプリメントを多く見かけます。

妊娠のための健康的な身体作りに必要な栄養素であることは確かですが、上記のような表現の宣伝広告は間違いであるということ知っていただき、サプリメントを選ぶ際には注意していただければと思います。

また、あくまでも神経管閉塞障害には様々な要因が絡んでいますので、葉酸を摂取するだけで発症を防ぐことは難しいこともあります。また、神経管閉塞障害の赤ちゃんが産まれても、その原因が葉酸摂取不足であると断定することは出来ないということも付け加えておきます。

厚生労働省が推奨するように、栄養バランスのとれた食事を摂って健康的な身体になることが、妊娠と健康な赤ちゃんの誕生へと続いていくのです。
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川口 優太郎先生

川口 優太郎先生

埼玉医科大学を卒業後、総合病院勤務を経た後に、国際基督教大学(ICU)大学院博士前期課程へと進学。アーツ・サイエンス研究科にて生命科学を専攻。大学院修了後は、加藤レディスクリニック(新宿区)に勤務。同クリニックの系列病院となった中国上海永遠幸婦科医院生殖医学センターへ出向し、病院の立ち上げに携わるとともに、現地スタッフの育成・指導や培養室の運営などを行う。 その後、2018年に東京都渋谷区に新規開院となった桜十字渋谷バースクリニックに培養室の立ち上げスタッフとして赴任。培養室主任を務め、指導要領の作製や培養室の運営管理とともに、生殖医療関連のセミナーにて講演を行うなど、精力的に活動。 現在は、千葉県船橋市に所在を置く船橋駅前レディースクリニックにて、培養室室長に就任。

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