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「おめでとう」がいえなくて <みんなの体験記>

ベビmatch運営事務局

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[おめでとう」がいえなくて

周りの皆を笑顔にする、幸せな妊娠、出産報告。
「おめでとう!」その言葉は心からの気持ちなんです。
その反面、何だかチクッと心が痛むのも事実でした。

まわりからどんどん取り残されていく

それは、私がまだ30代前半で、結婚4年目くらいのこと。後に結婚した2歳年下の妹が「妊娠した」と、離れて暮らす母から報告を受けました。

あれ、そういえば私たち夫婦は子どもを授からないなあ。
でも、まだ30代だし。子どもがいない友達夫婦だって、たくさんいるから。

妹の妊娠報告で痛んだ心の痛みを忘れるほど、私には根拠のない自信と余裕がありました。

初潮時から生理痛がひどく、高校生の頃には婦人科の診察を受けたこともありましたが、仕事が忙しいこともあって、婦人科からは足が遠のいていました。

当時、生理痛とともに悩まされたのが貧血です。貧血治療で通院していた内科では不定期に婦人科も診察していました。あらためて婦人科に出向くのも何だかはずかしいという思いもあり、そのクリニックで婦人科医師の内診を受けることになったのです。

婦人科の女性医師によると「生理はひどいほうだと思うけれど、とりたてて疾患もなさそう」との見立て。高校時代の受診結果と同じでした。

安心したのと同時に、じゃあどうしてうちには子どもが来てくれないんだろう?と不思議に思ったものです。

ちなみにその時の診察は触診のみ。エコーはもちろん、血液検査もありませんでした。後で振り返ると、ほとんど意味のない診察だったと思います。

どうして授からないの?悩める日々

主人が地方都市に転勤することとなり、激務だった仕事を辞めました。

専業主婦となり、新しい土地に馴染むべく、毎日を忙しく過ごす日々。そんな中、聞こえてくるのは友人、知人の妊娠、出産報告の便りばかり。

身内である妹の時に感じた痛みが、知らず知らず大きくなっていく気がしました。

私は子どもができにくい体質なのかな?それとも主人が?他の人が簡単にできていることがどうしてできないの?

どうしてわが子を自然に授かることがないのだろう……。

悩んだ末、まずは一般的な産婦人科を受診することにしました。

そのクリニックでの治療は、不妊治療専門ではなく、あくまで婦人科治療の一環という扱い。幸せそうな妊婦さんたちに混じって順番を待つたび、ざわざわする気持ちが強くなっていきます。

しばらく通院しましたが、エコーと排卵日後にホルモン注射を打つだけの同じような治療に不安は募るばかり。転院を決めました。

引越し先は地方都市とはいえ、中心部から離れると田園地帯が広がるのどかなエリアでもありました。都会と比べると婦人科自体が少なく、めぼしい病院をドクターショッピングするしか方法がありません。
けれども結局はタイミング指導やホルモン注射、排卵誘発剤の投薬など、ほぼ同じような治療ばかりで、妊娠もしません。

その一方で、生理はどんどんひどくなるばかりです。

ある日、卵巣のあるあたり、脇腹に激痛を覚え、倒れこんでしまいました。

その時にようやく決心したのです。このままじゃ、ダメだ。本気で不妊治療にチャレンジしなければ、わが子に出会えないのかもしれない。

エリアの都市部にある、有名不妊治療専門病院の門を叩くことを決めたのは、妹の妊娠を聞いてから6年以上経過した時でした。

初診の際、診察してくれた聡明な女性医師は、静かにいいました。「子宮内膜症で癒着がひどくて自然妊娠は難しいかもしれないね。それに相当痛いはずだよ、よく耐えてがんばったね」。

これまでいくつもの病院を回ったのに、指摘されることもなかった症状でした。投薬によって、子宮内膜症がひどくなった可能性もあります。

原因がわかってほっとした気持ちと、痛みに寄り添う温かい言葉がうれしくて、涙をこらえるのに精一杯でした。

経験者として理解できる心の痛み

私は、信頼できる医師とやっと出会えたことでその後治療を進めることができました。

そして気づいたのは、私自身が女性の体、自分の体のことをわかっていなかったのだということ。もっと早く、婦人科の門を叩いていればよかったという後悔です。

「子どもをなかなか授からないけれど、誰にも相談できない」そんな状況にある人は、実は少なくないと思っています。ただ、あまり大きな声で話せることではないから、ひそかに悩んでいるはずです。

また授かりたいという思いが同じ夫婦でも、夫や妻それぞれ温度差もあります。孤独を感じてしまうこともあるかも知れません。

妊活や不妊治療に関する話題はデリケートで、なかなか本音を話すことは難しい問題です。だからこそ身近な親族や友人の妊娠、出産報告を祝いたいのに祝えない、そんな複雑な気持ちを持つのは当然だし、これは経験者でないとわからない痛みです。

痛みを感じるすべての人に、私の経験を役立てることができたらいいなと願っています。

(40代 とまこ)

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※本特集記事は、不妊で悩んだ経験をお持ちの方に、ご自身の経験や気持ちを紹介するものです。記事内には不妊治療の内容も出てきますが、経験者の気持ちや状況をより詳しく表すためであり、その方法を推奨したり、是非を問うものではありません。

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